私は主にインフラ向けの講義を担当しています。他のIT分野でも共通することかとは思いますが、形の無いもの、馴染みの無い物事を多く説明しますので、生徒さんが不安そうにしていないか、特に「表情」を観察しながら授業を進めるように意識しています。オンラインだとカメラをオフにする生徒さんもいらっしゃるので、チャットなどで個別にコミュニケーションを取ってリアクションを確かめています。
講師を担当する以前から、エンジニア業務の傍らメンバーの質問を受け付けていたので、実はそこまで「兼任」する上での違いは感じていません。ただ、教える対象は、これから就職する方や仕事で活かしたい方となりますので、すでに私が実務で体験したことも含めて伝えられるのは、自分にとっても知識やスキルを再認識できるよい機会とも感じています。
教科書に沿って授業を進めるのではなく、生徒さんの理解度に沿って授業を進めることです。「インフラってなに?」「サーバってなに?」など、教科書に答えが載っていないような質問が出たら、いったん教科書を閉じます。本来の授業内容からははずれますが、「知りたい」と疑問を抱くことも、それに応えることも、安心して授業をスタートする準備としてとても大切なことです。
授業中はもちろん、授業の後も生徒さんから質問がくることがあって、その回答がどこかで役に立ったと聞いたときは、やっぱり嬉しいものです。生徒さんならともかく、卒業生から連絡をもらうこともあるからすごい。約15年講師をやっていますが、「先生のおかげです!」そのひと言が、講師を続けるパワーの源になっています。
意味不明な単語を教わり、なんとか理解できたつもりだった。でもまた分からなくなってしまった。そんな状況を繰り返し自信を失くしてしまう人もいますが、ぜんぜん問題ありません!何度も忘れてしまうのなら、何度でも質問してください。つい遠慮してしまうのなら、表情でうったえてください。私はそのためにいるのですから。
中道 賢(なかみち さとし)
担当講座:CCNA、CCNP、LPIC1、LPIC2、Windowsサーバー、C
実務実績:翔泳社CCNA、CCNP書籍執筆。大規模NW、サーバー設計・構築、システム開発経験多数。CCNP授業の立ち上げを行う。